任意後見制度のデメリット

代表的な3つのデメリットをみていきましょう。

取消権が認められていない

まず、取消権がありません

たとえば、本人が悪徳商法などで不要な商品を買わされてしまったとき、任意後見人が本人の行為を取り消して契約をなかったことにはできません。

法定後見制度の場合は、後見人に取消権が認められていますので、このような契約を取り消せます。

両方の制度を比較すると、法定後見制度の方が、本人の財産をしっかり保護できるといえるでしょう。

任意後見人には取消権が認められていないため、本人の財産を十分保護できないことがあるのは、大きなデメリットです。

死後の財産管理や事務は依頼できない

任意後見制度は、本人の死亡と同時に契約が終了するため、本人が亡くなった後の事務や財産管理を後見人にお願いできません。

(例)本人が1人暮らしで親族がいない場合
亡くなった後、葬儀やお墓の準備、家の片づけ、残った財産の管理が必要ですが、任意後見人は、このような手続きや管理を行なうことはできません。
法定後見人は、本人が亡くなった後も、一定の範囲で財産管理や死後事務を行なうことができます。

死後事務や遺産の管理を行ってもらうためには、任意後見契約とは別に「死後事務委任契約」という別の契約を締結しておく必要があります。

任意後見契約でカバーできるのは、あくまで本人の生存中の財産管理に限るという点も大きなデメリットです。

利用開始のタイミングが難しい

最後に、利用開始のタイミングが難しいという点があります。

任意後見契約は、本人の判断能力が低下した時点で家庭裁判所に申立を行い、初めて効力が発生するため契約締結時から契約開始時までにタイムラグがあります

そのため、定期的に本人の様子を見守っておく必要があります。

判断が遅れると、適切なタイミングで任意後見を開始できなくなります。

同居している親族が後見人でないときは、本人の判断能力がどれだけあるのか判断することは難しくなるという点も、デメリットの1つといえるでしょう。

次回は、このメリット・デメリットを踏まえたうえで、任意後見制度の利用が向いている人の具体例をあげてみようと思います。

詳しくはルビー行政書士事務所にお気軽にご相談ください。

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